けんちゃん農場インタビュー
けんちゃんの「田んぼ」、ようこさんの「手」
まじめなけんちゃんの作るたんぼ、「平にしよう、まっすぐに植えよう、稲をつぶさないように機械を入れよう。」
きちっと丁寧に作業ができるよう大好きな機械や金属を駆使して田んぼと向き合う。
でも、上手くいかないところや機械では取りこぼしてしまうところも出てくる。
そこに手を差し伸べてフォローに入るのがようこさん。
一緒にカルチを押したり、機械除草で倒れてしまった稲をおこしたり、取りきれなかった草を取ったり、はたまた、けんちゃんがしり込みをしてしまう組合の活動に、「はい!うちやります!」と真っ直ぐに挙手したり。
ようこさんの手は、いつもけんちゃんを想って忙しそうに動いている。
ライター担当 FarmShida志田
けんちゃん農場のおふたりの出会いについて
最初からズバッと齋藤さんご夫妻の出会いは?笑
出会いは〜、行きつけの焼肉屋常連で週5回行ってたんですけど、そこに途中からアルバイトで妻がきて…。
オーストラリアで農業の仕事をしていて、帰国して塾の講師をしながら夜はその焼肉屋さんで働き始めたんです。
当時、週5回近所の焼肉屋に通っていたけんちゃん、
そこでたまたまアルバイトとして入ってきたようこさんと出会い、
常連さんとアルバイトということで、けんちゃんから少しずつ話しかけるようになったのだそう。
誰でもよかったんでしょ!?
いやっ、そーゆうわけじゃないよ!笑
雰囲気も良いし、面白いし、いつもニコニコしてたから。
いつもバイトで失敗ばっかりしてたよね。
照れ隠しで言うようこさんの冗談にも、まじめに誠実に答えるけんちゃんが印象的で、
あぁ、本当に仲が良いんだなぁと思いました。
でも、いつもキッチリと仕事をするけんちゃんのイメージがありますが、バイトで失敗するような正反対の性格のようこさんに魅かれたんですね?
自分にないものに魅かれたんですよね。(妻は)思い立ったらすぐ行動するし、自分は思い立っても行動しないし笑
こんな感じで出会って今は夫婦一緒に専業農家として農作業をしているおふたりですが、
もともと夫のけんちゃんは別の仕事をしていたんだそうです。
専業農家になったきっかけは?
もともと家は農家だったけど、車の整備士をしてらっしゃったんですよね?
それをずっと続けようと思っていたんですか?
ずっとどっちつかずで…。父がやっているのを手伝っているような感じで、両方できれば一番良いなと思っていました。
(けんちゃんは)基本農業があまり好きじゃなくて、鉄が大好きだったんですよね。
ズバリ!笑
どっちと言うと便利グッズ作ったりするのが好きだったんですよね。
そんな鉄が大好きだったけんちゃんですが、お父さんが亡くなったことがきっかけでスパッと専業農家に切り替えたのだそうです。
そんなけんちゃんとは正反対でようこさんは別の考えがあったようで。
ようこさん、整備士と結婚して「やめないで!稼ぎが!」とかなかったですか?
いやいや、逆逆!
早く(整備士)辞めてって言ってました!
子どもが手が離れ始めてずっと仕事辞めて専業農家になろって言っていました!
ようこさん自身も海外で農業の仕事をするくらい農業が好きで、
しかも兼業で農業をしているけんちゃんは、朝仕事をしながら日中農作業をして、それを見ているのが大変そうだと思っていたのだそうです。
そんなことがあって晴れて(?)専業農家となったおふたり。
今では無農薬無肥料のいわゆる自然栽培と言われる栽培方法でお米を育てて、
年の途中でお米が売り切れるほど人気のある農家になりましたが、その栽培方法に出会ったきっかけはなんだったのでしょうか。
自然栽培に出会ったきっかけは?
自然栽培に出会ったきっかけってあるんですか?
お婆ちゃんが自然食で暮らしていたり、妹も自然食品店で働いていたりして、
周りにそういう人が多かったんです。
だから自分たちが食べる分でも無農薬のものを食べたいと思っていたんだけど、
できないんだろうなと思っていたんです。
ずっと無農薬のものに興味はあったものの、自分たちには知識も経験もなく、
なんとなく「できないんだろうなぁ」「でもやってみたいなぁ」という想いがあったのだそうです。
そして、親の反対もありなかなか踏み切れなかったのだとか。
そんな時に、ようこさんに運命的な出会いがあったそうです。
たまたま通りすがったところでオーガニックマーケットがあって、
そこで上野さんに出会ったんです。
上野さんというのは、私たちの組合員でもある上野農場の上野さん。
(上野さんの詳細はこちらから)
その上野さんとの出会いが自然栽培に足を踏み入れる大きなきっかけとなったようです。
いーなぁ!やってみたーい!
簡単だからやりな!明日うちに来ればいいわ!
もうその瞬間にやるって決めてから、その場で連絡先を交換して翌日には上野さんのお宅にお邪魔したのだとか。
そこで上野さんと話をして20aの田んぼから自然栽培を始めることになりました。
自然栽培を始めてみてどうでしたか?
すっごい楽しかった!今までは親の手伝いでやってたんだけど、自分たちが管理して自分が好きなようにできる自由感と農薬をまかない気持ちよさもあった!
農業はじめていくにつれて、農薬のことも肥料のこともわかるようになってきて、
自然に近い状態で田んぼができるのは悪い気はしなかった。
作業的には大変だけどそれ以上のものは得られた。
最初の田んぼで育てたお米はコシヒカリ。
そこの田んぼで育ったお米は本当に美味しかったのだそうです。
自分たちで初めて育てたっていうのもあるし、愛着で美味しかったんだと思います。
そこからはじめた自然栽培も今では面積も増え、栽培しているお米の品種も増えていったのだそうで、
その時の料理に合わせてお米も変えることが楽しくてしょうがないのだそうです。
おふたりの性格について
✔️ けんちゃんについて
機械乗ってても曲がるのが許せないんです。
均しを見ればわかりますよね!1ミリたりとも凸凹があるのが許せなくて、
機械が「ピッピッピ」って言ってるのに「ピー」までいかないと気が済まないんです。
インタビューで伺ったけんちゃん農場の農舎にはゴミ一つ落ちていなくて、工具もピカピカと磨いてあり整然と並んでいたのが印象的でした。
また、キレイに磨かれたトラクターは新品かと思って「買ったばかりですか」と聞くと、もう5年か6年ほど経っているのだそう。
見習いたいけど、なかなか見習えるものでもないですよね…。
✔️ ようこさんについて
そしてようこさんはというと、
外で働けることが気持ち良くて、なんか農家って自由でいいですよね!
と言うようこさん。
先ほどもあったように、自由奔放に動き回り思い立ったら即行動。
組合でも人がやりたがらないことでも「はい!私やりまーす!」と軽々と言ってみせる彼女は本当に気持ちがいいんですよね。
今後について
自分で農業をしながら、後で入ってきた人が少しでも楽をできるような便利グッズを作りたいですね。
やはり鉄好きなけんちゃん。
今でも自身で便利グッズを作って農作業をいかに完璧に楽にできるかを考えています。
その便利グッズが後に続く人たちのためになればと日々研究を繰り返しているのだそうです。
最後は100歳くらいでけんちゃんと一緒に田んぼで作業をしながらそこで一緒に死ねたら最高!
と言うくらい夫のけんちゃんと田んぼを愛しているようこさん。
本当に羨ましいくらいの関係性で人柄がよく現れている一言だなぁと思いました。
けんちゃん農場がオススメするお米はこちらから!
美しい文章ですね。二人の「人がら」が熱く伝わってきます。
「自然栽培」では、生産者の「人がら」が、品質や味に映り込みます。
用具や農機具をしっかり整備、保管している姿勢は、美味しいお米が
出来ると思います。
インタビューさんのことも少し載せて頂ければと思います。